昨年あたりから、世の中は何度目かの人工知能(AI)ブーム。「何度目か」と書いたのはうそでなんでもなく、AIという考え方やシステムは結構昔から存在していました。ただ、PCの性能や、AIに利用する膨大なデータの収集などが実用レベルではなかったため、一般に利用されるまでにはなっていなかったんです。
そんな不遇な時代でも、地道に基礎研究を続けていた技術者がいたおかげと、昨今のハードウェアの高性能化、インターネットによるビックデータの収集が可能になったこと、等様々な要因があいまって、やっとAIが日常生活で利用できるレベルになってきたからこそ昨年来の大ブーム到来となったわけです。
AIのブームで、「人間の仕事が奪われる」なんてセンセーショナルな見出しを目にしますが、ほんとにそうなのでしょうかね?
少し前の記事になりますが、「Google の機械学習ライブラリ TensorFlow を用いたキュウリ仕分け機の自作」という記事をご紹介します。
システムの概要としては
- 大量のキュウリの画像を用意
- 画像ごとに等級をデータ化(学習データ作成)
- キュウリをカメラで読み込ませ、学習データと比較して等級を判定
- 等級によりセンサーを制御して選別
- 等級ごとの箱に落とす
といった感じ。学習データから等級判定の部分に TensorFlowが使われています。
ここまでの機能を持ったシステムを作るとなると一昔前なら数百から数千万規模になるのではないでしょうか?しかし、このシステムはハードウェア部分だけなら数万から、かかっても数十万規模。(ソフトウェア開発費は除く)
作成したのが、元エンジニアというのもありますが、その分を考慮してもかなり安価にシステムが構築できていると思います。
この記事の中で小池さんは
「仕分け作業は農家本来の仕事ではない、農家はおいしい野菜を作ることに時間をかけたい。」
とおっしゃっています。
AIでなくなる仕事は当然出てくるかと思いますが、そのような仕事は裏を返せば今まで余計な労力だったわけで、それが無くなるのであれば、もっと重要な仕事にリソースをさいて、より良い物やサービスを提供できるはず。
この事例以外にも、身の回りにはAIやロボットで代替え可能な、余計な作業はあるはず。うまく使って、よい世の中になればいいですね。